美は時を超える

美は時を超える 千住博の美術の授業Ⅱ

2004/光文社新書 千住博



著者:千住博氏の講演に深い感銘を受けたために購入した本.

人々の近くにあるはずの美・アートが,しばしば一般人から遠く離れたところにいってしまうことのある現代.

でも,本当のアート.芸術は,誰にとっても同じように「美」への感銘を与えるものなのだと,この本の中で,千住氏は訴える.

砂漠の中に残る人類にとってのはじめての美:アルタミラの洞窟画.
暗闇の洞窟で描くということは,神との対話であったかもしれない.
明かりに照らされたとき,初めて見るその形に,神を見たのかも知れない.
その体験は,描いた本人だけでなく,それを見た人にも等しく訪れたであろう.

ウォーホールが描いたマスメディアの虚.
死の道具であるはずの鎧兜に込められた人間性.
9.11の後に訪れた現代アートの死などを通してみるとき,美は常に神との対話の中に生まれということを再認識できる.

とくに,私は第3章の水墨画の持つ「空」の世界に,魅了された.
水墨画.それは,白と黒の濃淡でしかない世界.
しかし,そこにはどこかで見たことのある風景が広がる.
かつてレオナルド・ダ・ビンチは,「すべての遠景は青に近づく」といったという.
目に見えるアレコレは,やがて総て等しくなる.それは,まさしく「仏」の世界.

芸術というのは,こんなにも多くのものを語るものなのかと,あらためて衝撃を受けた.そして,その美を実践しようとする千住氏の語りかけるアートを,目にしてみたい.
そう強く思った本でした.




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