宇宙生命,そして「人間圏」

宇宙生命、そして「人間圏」
2005/ワック出版 松井孝典



先日,松井氏の講演を聴く機会があり,感銘を受けたので著書を購入してみました.

宇宙とくに惑星科学者として,惑星としての地球に向き合っている視点から,紡ぎ出される環境そして人間の問題.そして惑星科学の最先端.翻って宇宙における生命という存在に思いを馳せた書.

人間の存在云々に関係なく,存在する地球.
様々な要素が作用しあって形成されるシステムとしての地球.
この「地球システム」という視点を持ったときに見えてくる人間の生存圏のあり方を,とくに第一部で強く説いている.
「地球にやさしい」という思想の空疎さ,その根底にある「地球は人間のためにある」という発想の陳腐さ,生物によって地球がいかされているととく「ガイア仮説」の滑稽さを,より大きな地球システムへの畏敬の念の前に過激に批判している.

しかし,読んでいて思うのは「確かにそうなのだ」という深い納得.そう.うすうすわかっているけれども,人間中心に営む普段の生活の中で,なかなか気づくことができないでいるからだ.

著者は批判するだけでなく,人間圏が地球システムの中で,安定的に存在しうる姿をきちんと提示している.「ストック型」から「フロー型」へ.それは地球システムに上手くマッチした合理的なスタイルなのだ.

こういった考えに至る前提にある著者のワークを第二部で紹介している.いわば惑星科学の最先端だ.そして,自然科学者として生きる人間としての著者の最近の思いが,第三部に語られている.


雑誌に掲載されたコラムをまとめた形なので,再三同じ内容の文章が繰り返され,ややくどい感じがする.また,ちょっと専門的すぎる点もあり一般の読者にはちょっと難があるかもしれないけれども,巷にありふれた空虚な環境論とは全然違うまともさを感じることができるという点では,一読の価値はあるかな.

宇宙における生命としての人間という存在を考えてみませんか.






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  • 環境問題

    Excerpt: さて、大げさなタイトルを付けてしまいましたが、常々「地球環境問題」という認識は偽善ではないかと思っているわけです。人間がいかに生き残るかどうかの議論なのに、「地球にやさしい」ってどういうこっちゃ?とい.. Weblog: 買ってしまおよ何もかも racked: 2006-10-28 03:23