生きて死ぬ私

生きて死ぬ私
2006/ちくま文庫 茂木健一郎




「かつて哲学者が担ってきた仕事を,いまや科学者が担っている.」
先日,笑う哲学者・土屋賢二氏の講演を聴いたとき彼がこう言ったのが印象的でした.

本書を読んで,この言葉の意味がわかった気がします.

脳,とくにクオリアの研究は,人間の存在意義を問う.
脳内現象である人間の心とは何なのか.

科学という立場を取ったとき,単なる物質でしかない人間.自分.
宇宙の時間と空間の中における自分というものの位置づけも,理解できる.
生命が死を迎えるということがどういう事なのかも理解できる.

それでも,私たちがいだく「死」への恐怖.死後の自分の不存在に対する恐怖.
今ここに存在している特別な「私」を打ち消す,言いようのない不条理さ.

そういうものに対する脳科学者・茂木健一郎のある種文学的な心の過程が,展開されています.

最近,私自身も科学者の目から見た「死」というものに興味があったので,とてもタイムリーで示唆にとんでいました.とくに第二章「存在と時間」は秀逸です.
下手なスピリチュアルを標榜する本よりもずっとずっと生と死の尊厳を感じることができます.
茂木氏の著書の中でも,最も人間としての心を打たれる素晴らしい本でした.








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