死の壁

死の壁
2004/新潮新書 養老孟司



大ベストセラー「バカの壁」の続編という形の本です.
基底にあるものは「バカの壁」と同じですが,本書では一貫して「死」の扱いに重きを置いています.

ただ本書も「バカの壁」同様に,独白を録音して活字化したものですので,論理的に弱い部分がかなりあって,どうしても独善的な印象をぬぐい去ることができません.
とくに第一章の「なぜ人を殺してはいけないのか」の中に漂う臭気は,我慢ならないぐらいに感じられます.

ただ解剖学という立場から,死を身近なもののとして感じてきた感覚から見る風景には,ある種の好感を感じます.とくに脳死における「死の判定」における感覚.死体の人称を通してみる私たちにとっての「死」の感覚.安楽死の背景にある安楽死させる側の感覚.こういったところには養老氏の確かな実感に伴う主張が見えているように感じます.

ただやはりこの本は,ここから死について「考えるきっかけにする」という以上の位置づけは無いかな.死についての考えをこの本に寄ってはいけません.
読む側がきちんとそう位置づけることができさえすれば,意義のある本だとは思います.

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