地球温暖化を考える

地球温暖化を考える
1995/岩波新書 宇沢弘文著



経済学の視点から地球温暖化を考えた本.
したがって,地球温暖化研究の真っ直中にいる理系科学者による類書に比べて,語り口が非常に柔らかくてわかりやすいのがとても印象的.

第1章から第5章は,一般の人にもわかるように書かれた地球温暖化のしくみとその影響について.著者が専門家ではないからこそ余計に一つ一つを細かく記述しているので,本当にわかりやすいです.ただ,わかりやすさの裏側に潜む,安易な決めつけなども若干見え隠れしているので,この点には注意が必要.

この中で温暖化とはちょっと方向性が違うものの,独特の視点を提供しているのが第4章の都市に関する記述でしょう.ル・コビュジュの「輝ける都市」に対するジェイコブスの都市の四原則を対比させ,独特の都市のあり方を提案しています.

第6章からは経済学的立場からの温暖化の捉え方が提示されています.
炭素税に関する記述は京都議定書に深く関わる部分.それを「社会的共通資本」という部分から考えることの大切さを説いています.本書で伝えたかったのは,この部分なのでしょう.しかし,「税」であるからには各国が目指す方向性と制度が重要です.また,一国だけ制度を作ったところで威力を発揮するはずもありません.そこで国際的な共同が必要となるわけですが,それぞれの思惑の中で,様々な摩擦が起こってしまう.そんなやりとりを実際に見てきた著者の苛立ちのようなものが綴られ,本書は閉められています.

コモンズから温暖化を考える本書は,私にはいつもとはちょっと違った視点でしたので
,興味深いものでありました.








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