ウルトラ・ダラー


日本では珍しいインテリジェンス小説の代名詞と言われる本.

「現実のような嘘」と「嘘のような現実」が絶妙なバランスで織り交ぜられていて,非常にワクワクしながら,そしてそれ以上に驚きと漠然とした不安を抱きながら読みました.

日本人の拉致事件などから端を発した偽ドル札事件は,黒幕としての北朝鮮の姿を浮き彫りにしていく.日本社会に体をなじませながら極秘裏に調査するBBCラジオ特派員・スティーブン・ブラッドレー.様々な要人と巧みにコンタクトをしながら,インテリジェンスを獲得していく様がなんともしびれます.

様々なインテリジェンスが指し示す果てのある事件を,機転を利かせて解決したかと思いきや,それは「アトモスフェール」なものだった.しかし,そのことがかえってこれらの事件の背後にある現実としての世界情勢,とくに東アジア情勢のパラダイムの変換を暗示する.

小説として展開される後半の盛り上がりの影に浮かんでくるアジア情勢の「パラダイムの変換」は,実は小説の中の話にとどまらない.現実につい先日,ニュースとなったある報道も,同様にこの「パラダイムの変換」を暗示しているから,思わず鳥肌が立ってくるのを感じました.

いろんな意味で非常に興味深い小説でした.


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