武がたけしを殺す理由

武がたけしを殺す理由
2003/ロッキング・オン 北野武




私は北野武の映画が好きです.
とくに「ソナチネ」を観たとき以来,その映像と彼の死生観のようなものが頭から離れなくなりました.

北野武は,映画の中でよく自分の頭に拳銃をあてます.
しかもニヤッと笑いながら.どこか悲しそうに,でもどこかホッとしたように.

彼はなぜいつもそうやって死を追いかけるのだろう?
私は彼の映画を観ながらいつもそう感じていました.

この本の題名は,そんな私の疑問に答えるかのようなもの.
これまでの彼の映画,「あの夏,一番静かな海」から「座頭市」までの映画に関するインタビューをまとめたものです.その間12年.
12年も生きていればいろんな出来事があります.そして当然ながらそれによって考え方も,生き方も変わってくる.
この本を読むことで,その変遷を見て取ることができました.

武は「あの夏,一番静かな海」のくだりでこう言います.

「”死ぬこと”が人間のいちばん平等なことだからさぁ.」

っと.そして,「ソナチネ」にて

「あんまり死ぬことを怖がっていると死にたくなるんだよ」

っと主人公にぽつりと言わせます.

「ところがそうじゃない.やっぱり死と向かい合わなくちゃいけない.そうしないと生きていけないんだ.」

映画[HANA-BI」でのインタビューで,促される形で武はこう答えるに至ります.
もう一つ.この本で私の興味を引いたのは,武の恋愛観でした.

「愛とはすごく主観的だし,一方的な暴力である」
「幸せというのは一瞬の,すごく儚いもので,それ以外は恋愛なんて非常に一方的なものなのだ.」
「幸せになるならないっていうのを放棄した人間たちに初めて静寂というのが訪れて,それが幸せなんだと思うから」

それを受けてインタビュアーはこう言います.

「たけしさんが描きたいのは,その時間なんですよね.恋愛の一瞬の,結局そこにしかない時間があるからこそ,景色は美しいし,僕たちも感情移入する」

これは紛れもなく映画「Dolls」で表現されたもの.
この本を読んで,私はやっぱり北野武の映画が好きだなと感じました.




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