最前線のリーダーシップ
2007/ファーストプレス ロナルド・A・ハイフェッツ/マーティー・リンスキー著
竹中平蔵:監訳, ハーバード・MIT卒業生翻訳チーム:訳
序章にあるように本書は,よくあるリーダーシップの心得本ではありません.
ある組織などでリーダーシップを発揮することによって,そのリーダー自身が被ってしまう危険について一つ一つ丁寧に解説し,その対処法を豊富な実例を元にまとめたものです.
学生のサークル活動などならいざ知らず,様々な利害関係が渦巻く実際の社会・組織の中でリーダーシップを発揮するのは大変なことです.リーダーシップが求められるときというのは何か古いものの喪失を受け入れ,新しいものへの変換を求められるときです.多くの人々は,その喪失を受け入れがたいものと感じ,反発します.そういった中で目に見える形で将来像を見せ,熱気をコントロールし,自らをモデル化させながら,皆を新しい世界へ導かなければなりません.
多くの場合,その責任の重さ,課せられる役割の重さに尻込みしてしまいます.本書を読むとその尻込みの原因がよくわかります.
でも,そういう困難の中,皆を導くからこそリーダーは憧れの対象となり,賞賛されるものです.
大きいコミュニティでリーダーシップを求められれている人に限らず,小さな単位の集団の中でリーダーシップを発揮する必要がある人にも,この本の内容は示唆に富み,多くの指針を得ることができる大変役に立つ本だと思います.