温暖化の発見とは何か


温暖化の“発見”とは何か
みすず書房
スペンサー・R. ワート


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地球温暖化というものに,いつ頃誰が,どのように気づき,どのようなコミュニティの中で議論され,現在に至るのかを,一つの「科学史」として紹介しています.

この本を読むと,様々な分野の様々な科学者達によって,あらゆる可能性について検討され,紆余曲折を経ながら,少しずつ少しずつ知見を獲得していったという過程がよくわかります.

地球の気候という様々な要因が複雑に絡み合うものを研究の対象とすることがいかに難しいことか.その中で科学的事実を積み上げていくための,思考のあり方など,科学者の端くれでもある私にはとても示唆に富む記述が多く見られました.

たとえば

「測定された単純な事実のように見えるものでも誤解を招くことがある.したがって科学者は,ある研究成果がまったく異なる手段によって裏付けられる前にそれを受け入れることはめったにない.」や

「実は,彼のやり方に致命的な欠陥があったことがのちに判明する.だが,大部分の研究は欠陥のある理論から始まるもので,それによって人々はもっといい理論をつくろうという気になるのだ.」
それに

「科学のすばらしい点は,すべてを一度に理解する必要はないということだ.(中略)科学者はあるシステムを理解できる見込みがあるような単純なものに分解することができる」

などは,改めてなるほどそうだった!っと思わせてくれます.
そして最後に著者は,温暖化に関して様々な懐疑論があることや,ジャーナリズムの科学報道の偏りなどがあることを踏まえながら(ときに批判しながら),「科学」という営みについてこう述べています.

「不可欠な種類の信頼は,目標すなわち確かな知識の追求を共有すること,
 その目標を追い求める方法に関する原則を共有することから生まれる.
 必要な原則の一つは, ものごとを分析すること
  -意見の相違に耐えて,公の議論の場であらゆる合理的な主張の発現を認めることだ.
 二つ目の原則は,ものごとをまとめること
  -たとえ他の点について意見が一致しないということで同意していても,重要な点については意見の一致を求めて徹底的に話し合うことだ.」


温暖化について,その科学的な営みについて過不足なく理解するには,なかなか良い本だと思います.

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