戦争で死ぬ,ということ

誤解を恐れずにいうと戦争を知らない私は,戦争をどこか他人事のように感じてしまいがちでした.

振り返れば物心ついてからも戦争はありました.湾岸戦争,イラク戦争,アフガン戦争など多くの紛争がありましたが,これら最近の戦争は第二次世界大戦などのような昔の戦争とはどこか違うのではなかという勝手な思い込みをしていたことは否めません.

本書は,「「戦争で死ぬ」ということは,他のあらゆる死と一線を画している,それは「正当化される大量殺人」であるという点において.」ということを否応なしに,読者に迫ってきます.

戦場の惨劇,空襲の惨劇,原爆の惨劇など読み進めるのもためらわれるような,戦争がもたらす惨い惨状が多々出てきます.
「わが身を殺そうとする攻撃を受ければ,誰しも敵の殲滅を願う.殲滅を願った時点で心のブレーキは壊れている.戦場という暴力装置の中におかれたとき,人間は本来のその人ではなくなる.」そんな人間の残酷さがたくさん出てきます.
しかし,それでもこの本を読んで良かったと私は感じています.

知らないことが,たくさんありました.本書を読んでハッとすることがたくさんありました.

怖いのは身に迫る惨劇だけではないということが,よくわかります.
「戦争は必ず言論統制をうみ,コントロールされた言論は死のリアリズムを遮断する.」
「戦争は兵器を求め,兵器を労働に求める.戦争をする国においては,本人の自覚とは関係なく,毎日の仕事が殺戮に結びついてしまうのだ.」
そして,「一連の資料を見れば,こう思わずにいられない.もし日本かドイツが原爆投下に成功すれば,日本人の多くは喝采して喜んだのではないかと.日本軍のなかに,原爆の投下を命じられ,「そんな非人道的なことはできない」と断るパイロットがいたとは思えない.人は簡単に兵器を使ってしまうのだ.ある方向を向いた流れのなかでは.」


この本を読んで,自分の意識が変わったのを自覚できます.
「戦争が近づいてきたときには,意識して死のリアルに立ち戻り,「人間をこういう目にあわせても,なお戦争をやるのか?」と自らに深く問いかける必要がある.」
そのことを深く考えさせてくれる本でした.



戦争で死ぬ、ということ (岩波新書)
岩波書店
島本 慈子


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