日本の食と農

タイトル通り,日本の食と農についての危機の本質をずばりと述べています.

JAの功罪,農地制度の問題点は,本書でも,類書でも,繰り返し述べられる所ですが
大変わかりやすく整理されているので,これらを読むだけでも大変勉強になります.

しかし,この本の大事な点は,そういうことではなくて,とくに序章と二章で強調される
「食と農の問題の本質は市民(農民および消費者)の怠慢と無責任である」と言うことであります.

「1990年代以降のマスコミの定番的論評は,「悪い官僚(ないし族議員)VS善良な市民」という構図で特徴付けられる」と著者はいいます.「市民が責任放棄を体よく官僚に押しつけてしまって」「世の中の矛盾すべて”手頃な誰か”になすりつけて,それより先は思考停止してしまうのである」と.
でも,「バッシングは気休めにはなるかもしれないが,問題の解決ではない」.

「しかし,本来,市民は官僚とともに公益・公共性の責務を担わなくてはならない.公益・公共性は社会の構成員の探索から生まれてくるものだからである.さらに,エネルギー問題や環境問題のように,市民自身が加害者になる場合は,なおさら市民の責任が大きい.」「ところが,日本社会では,市民は公益・公共など気にせず,私益を追求すればいいと誤解されている.」 著者はこれを「お任せ民主主義」と呼び,民主主義の退行を憂慮している.

本書が,食と農をテーマに語っていることの本質は,市民の責任放棄がもたらす,民主主義の退行.
それが如実に現れているのが,この「日本人の食と農」問題であるが故のテーマであると.




日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)
NTT出版
神門 善久


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