想像ラジオ

震災を描いた小説
やはりどことなく劇作風で,会話で構成されていく物語

あるとき突然聞こえてくる饒舌で軽快なラジオ
想-像-ラジオ-
というジングルがなり,誰にとっても心地良い音楽が流れる.

このラジオは何なのか.
しゃべっているDJアークは何者なのか.

DJそして,リスナーたちにもわからないそのラジオの正体は,
会話の中で少しずつ明らかにされ,納得されていきます.

そんな物語の中で,印象的だったのはある秘めた恋仲にあった男女の会話.
『「僕が言ってる死者の世界は逆だ.そこは生者がいなければ成立しない.生きている人類が全員いなくなれば,死者もいないんだ」
「・・・(中略)・・・ええと,生者がいなくちゃ成立しない死者ってことは,つまり死者は生きている人の思い込みっていうか,思い出の延長ってこと?生き残った人の心の中にだけ生きてて,一方的な生者の都合に合わせて,わたしたちはあらわれる」
(中略)
「生き残った人の思い出もまた,死者がいなければ成立しない.だって誰も亡くなっていなければ,あの人が今生きていればなあなんて思わないわけで.つまり生者と死者は持ちつ持たれつなんだよ.決して一方的な関係じゃない.どちらかだけがあるんじゃなくて,ふたつでひとつなんだ」』


一つ一つのとても個人的な生と死を突き詰めていくと,それは自然と普遍性を帯びてくる.
この小説を読んで,いやこのラジオ聴いて,そんなことを感じました.





想像ラジオ
河出書房新社
いとう せいこう


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