農ある暮らしで地域再生

農ある暮らしで地域再生―アグリ・ルネッサンス
2005/学芸出版 山本雅之 著



農業の不振・農村の過疎化・少子高齢化を伴う人口減少・都市環境の悪化etc
こういった情勢の中で,農村をはじめとして,農地を含有する地域の再生が求められている.

これまでは人口増加,景気拡大を背景とした土地神話の影で農地は減少の一途をたどり,都市は膨張していた.しかし,景気の低迷を受けての各種の規制緩和,土地政策の変化,住民の意識の変化,人口構造の変化によるライフスタイルの変化をうけて,ようやく「農住都市構想」のための有効な手だてをうてる環境が環境が整いつつある.

本書では,こういった現状である今を,その好機と捉え,30年来果たすことができなかった「田園まちづくり」の復活=アグリ・ルネッサンスを提唱している.

都市における農地は,都市住民の意識の変化,土地価格の下落,土地政策の変化等によって,市民農園などへと利用が変化しつつある.それは今や都市生活に必要不可欠なインフラであり,地域のコミュニティ施設となりつつあるという.こういった変化は,都市住民の意識を「資産価値」から「生活価値」へと移らせ,より安心・安全な周辺農村部への定住意識を強めているという.

人口減少社会を向かえるにあたって,いま地方は,全国規模の人口確保競争に参加せざるを得ない状況にある.
その中にあって,農村は,都市住民との連携が不可欠であり,「ふるさと回帰」をもとめる都市住民を積極的に受け入れることで,農村の活性化を図るしか方法はないのだと著者はくり返し訴える.
都市についても,結果として残った都市農地を積極的に地域コミュニティ・インフラとして利用する方法を模索し,「生活環境の質」「コミュニティの質」を高めることで,安心・安全な住環境を提示していくことが大事なのだともいう.

結果としてそこにあるのは,「農」を暮らしに据えた生活環境づくり.それを通した地域再生なのである.

では,具体的にどう進めていくか?
本書には,各々のケースを現行法制度の枠組みを十分に踏まえた現実的な方法を提示している.「ファーマーズマーケット」「農住組合」「コーポラティブ方式」「地域通貨」などなど,数々の持ち札を組み合わせて,地域に見合った再生ビジョンを作り上げるための方法と先攻する具体例を解説している.

私自身,地方都市に住み,農に関わる仕事をしているため,本書の具体的で,現実的な再生ビジョンは非常に示唆に富み,さまざまなアイデアを湧かせてくれる良い本でありました.


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