科学は不確かだ!

科学は不確かだ!
1998/岩波書店 R・P・ファインマン著 大貫昌子訳



他のファインマン氏の著書同様,1963年に行われた講演会を収録したもの.
彼の教えは,いつでも優しく,かつ力強いですね.この本も期待を裏切りません.


科学とはどういうことか,とくに不確かさを容認する科学者の態度について,そしてそういった科学的な目を持つ人が社会をどう見るのかについて,柔らかい口調で述べられています.

ファインマン氏は,科学というものを熟知しているのと同時にまた,人としての科学者の姿をもよく知っている.優秀で,すばらしく,愛すべき人間という存在を理解しているのと同じように,騙されやすく,過ちを犯しやすく,また狡賢い存在としての人間の姿をも理解している.

だからこそ,彼は
「結果の善し悪しはその使い方によるのであって,力それ自体は価値のあるものです.
 ・・(中略)・・これはもっと人道的な問題なのではないか.
 ・・(中略)・・科学の問題というより,むしろ科学者があまり良く知らない領域のことなのです.」
と言うのでしょう.

「科学」と人としての科学者をわけて考えないといけないと私もよく思います.
ですから,ファインマン氏のこの言葉はとても印象的です.

答えがない状態に満足せず,答えられる人の方が答えられない人より優れていると考えがちな大衆の姿を一番危惧しています.

科学者としての成功を収めながらも,人として多くの人に愛された人間・ファインマン氏の真摯な語り口から,私たちはもっと「知らないことを認め,進むべき方向さえわからないという態度を,いつも保ちつづけること」という言葉の意味を噛みしめないといけない.

そんな思いを強くすることができる素晴らしい本だと思います.


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