悪について

悪について
2005/岩波新書 中島義道




本書を読んで,心のつっかえが一つ取れた思いがします

これまでの中島氏の著書を読んで抱いていた
「この人はなぜココまでマイノリティに対するマジョリティの傲慢さを非難するのか?」という感覚・疑問.それに著者自らが答えているような気がします.

よりどころにあるのはカント倫理学.「道徳的善さ」を追求したカントの思索は裏返せば,「道徳的悪さ」を反映したものであるという.
そこにあえて目を向けることで,「人間」が抱え込む「根本悪」というものがあらわにされる.人は皆この悪を自分の中に抱え込む.「人間」として生きる上では何人たりとも避けて通れない現実.なのに,自分の中の悪を見ようとしない多くの人々.自分の中の悪に蓋をして他人を裁く人々.そういう行為こそが我々が最も忌み嫌うべき悪なのである.そう断言する.

なぜそこまで言い切れるのか.それをカントの著書を頼りに,本書は細かに綴っていく.

本書で展開されているのは倫理学もしくは哲学ですが,読んでいてすごく“科学的”だなと感じました.ロジックの果てに見えてくる現実をしっかり受け止める.そんな姿勢にとても共感を覚えました.
TVなどでしたり顔で事件を「解説」する文化人・タレントetcに,我慢ならない臭気を感じたとき,本書をぜひ紐解いてみることをお薦めします.



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