水の環境戦略

水の環境戦略
1994/岩波新書 中西準子




水の問題を水質環境を軸に,中西氏の長年の確かな研究成果を元に論じている不朽の名著.

水の問題は,いわゆる環境問題とほぼ同等な問題である.
その環境問題をリスク/ベネフィットを吟味してそれぞれのフェーズで取り組んでいく必要性を訴える.

闇雲に環境を保全すればいいわけではないのだ.
人間が社会性を保ちつつ生きていくためには,環境を犠牲にしてまでも享受しないと生きていけない利益が存在する.それは紛れもない事実.
それでも環境を保全していかなければいけないとき,そこにどう折り合いをつけていくのか?

対立するリスクと利益をきちんと吟味して,その時・その場所でもっとも優先すべき課題を見据えバランスを取っていく.これはなかなか難しく,骨の折れる作業だけれども,環境が大事だと思うからには,労を惜しんではいけないのだ.

本書は,日本で良く話題となる飲料水や汚水の水質の現状を丁寧に見つめ,かつ治める立場に立ったときにどう考えるべきかを慎重に議論している.
行政の問題を厳しく問う一方で,なんら具体的な解決策を提示しない安易な環境保護運動の姿勢にも厳しい視線をおくる.だから,どの立場の人が読んでも多分,一度凹む.

でも,それだけ難しくて,大切なことなんだというのがよくわかる.


学生の頃は訳もわからず漠然と読んでいたが,今読み返すといろんな視点を得ることができる.まさしく日本における水環境問題の名著である.






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