世界の大学危機 新しい大学像を求めて

世界の大学危機―新しい大学像を求めて
2004/中公新書 潮木守一著




大学にまつわる議論は様々です.入試制度や,講義について,卒業後の進路や大学人の資質についてなど,多種多様な議論が日夜繰り広げられています.

そして,だいたいに於いて議論の比較対象となっているのがアメリカの大学.それも一部のいわゆる「研究大学」の事例ばかり.アメリカ留学経験者の多くは,大学院のある種高級な大学教育制度を経験しそれをもって「アメリカの大学」としていることが多いのが現状です.彼らの意見に耳を傾けるとき,中等・高等教育制度の正規ルートを経験しているわけじゃないことを十分に考慮する必要があります.

本書では,イギリスを皮切りに,ドイツ,フランスの大学の発生過程や大学の情勢を詳細にのべ,最後にアメリカの大学制度を解説しています.これを読むと日本のみならず先進国の多くの大学で,大学の大衆化と研究重点化の矛盾,景気後退に関わる財政の悪化,社会層の変化にたいする高等教育機関の位置づけの変化等に悩んでいる様子がわかります.

とくに個人的に興味深かったのは,ドイツとフランスの無試験入学制度とその弊害に関してでした.
日本でもこの種の議論はよく耳にしますが,それらのほとんどが実態を知らないまま隣の芝生を青く見ていただけだということがよくわかりますね.

大学というものは,個々の大学の様相だけ,その時々を点としてみても何も有意義なものは生まれません.
大学を取り巻く社会情勢,とくに国の発展段階・発展過程や産業の構造等によって規定されるがあまりにも多いということを本書を読んで強く感じました
私にとっては,大学教育というものに対していろいろと新しい視点を与えてくれた本でした.



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