若者はなぜ3年で辞めるのか?
2006/光文社新書 城繁幸
若者の労働環境問題を扱った昨年のベストセラー本です.
3年以内新人離職率の増加の原因を,離職する若者の気質云々ではなく,彼らを取り巻く労働環境の問題,すなわち年功序列型社会の崩壊の中途半端さの問題としてとらえています.
昨今新卒者と企業側のミスマッチによって離職問題を取り扱う議論が多いなぁという印象を受けていましたので,正直,私の予想を軽く裏切る形で,本書は論が展開していきました.
本書を読むと,ミスマッチはミスマッチなんだけども,それはそれぞれが寄って立つ(立とうとする?)システムの違いから生まれているものなのだということがよくわかります.
そしてその違いを残したまま,様々な意識の改革の必要性や教育のあり方が議論されている世の中のおかしさが浮き立って見えてきました.
若者が社会へ出る節目に立ち会うことの多い私の職分として,本書はとても考えさせられるものが多い内容でした.