私はフェルメール

日本人が大好きなフェルメールの絵。世界中でも好まれていますが、残っている絵が少ないことからいろいろと問題となることも多いようです。


第二次世界大戦後のアムステルダムで発覚した一大贋作事件。権威ある美術館員が太鼓判を押したフェルメールの絵が実は贋作だったと、贋作者ファン・メーヘレン自信が証言したことで世の中がそう然となります。
この贋作者 ファン・メーヘレンがどういう人物だったのか、なぜフェルメールの贋作を描くにいたったのか 少ない資料の断片を紡いで小説という形で表現したのがこの本です。


この本を通して、興味を引くのが、芸術という世界の残酷さを示唆する
「芸術は、評価されなければ、生き残らない。才能のない芸術家は短い告解の時間しか与えられない。愛されない絵画は無関心と無視に遭い、消え去っていく。」
といった言葉が随所に見られることと、批評家たちの傲慢さへの批判です。


「批評家の役割は美術界では決定的であった。」古の巨匠の作品を試すのに用いられるテストは、増えはした。「しかし、判断を下すのは以前として専門家の鑑識眼である。」「批評家というものは、ゆるやかに保たれている先入観を鑑識眼によって束ねる存在である。」

贋作者はまさにその傲慢さに、漬け込んでいくのです。
「彼は詐欺師の尊大な自信を見た。その男の横暴な発言には、常に自ら買って出て、出来栄えと真筆性を判断しようとする者の驕りが集約されていた。」

描かれているファン・メーヘレンの生涯は、挫折と堕落に満ちていて、あまりお手本になるものではありません。でも、随所にしたたかさというか、使い方を間違えなければ真っ当になれたかもしれない賢さをもっています。そんな、良いところ悪いところがごっちゃまぜな人間臭さのなかに、私たちが学ぶべきものが垣間見得るそんな小説でした。




ちなみ、この事件の顛末をアレンジして、私は数学の講義でお話しています。
学生たちには結構好評なんですよね。



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