いまだから読みたい本-3.11後の日本

本当に,タイトル通り”いまだから読むべき”文章がちりばめられていました.

わずか100ページほどの本ですが,付箋だらけになってしまいました.

たとえば,寺田寅彦の「津波と人間」.昭和8年に発生した東北太平洋岸の津波被害についての文章.繰り返される災害に心を痛めながらこう書いています.

「こういう災害を防ぐには,人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか,ただしは地震津波の周期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい.そうすれば災害はもはや災害ではなく五風十雨の亜類となってしまうだろう.しかしそれが出来ない相談であるとすれば,残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう.科学が今日のように発達したのは過去の伝統の基礎の上に時代時代の経験を丹念に克明に築き上げた結果である.」



たとえば,管 啓次郎の「七世代の掟」.アメリカの部族が取り決めていたことは,物事を決めるに当たって,その決定が以後七世代にわたって及ぼすことになる影響を良く考えなくてはならないということ.それを受けて,こう書いています.

「子のため孫のためを考える人は,いくらでもいる.それは結局は利己的な視点,延長されたナルシズムの視点だ.七世代の後を見直す.それはすでに「家系」はおろか,ヒトという「種」さえも超える.」



そして私が最も感銘を受けたのは,伊丹万作の「戦争責任者の問題」

「さて,多くの人が,今度の戦争でだまされていたという.みながみな口を揃えてだまされていたという.私の知っている範囲ではおれがだましたのだといった人間はまだ一人もいない.ここらあたりから,もうぼつぼつわからなくなってくる.多くの人はだましたものとだまされたものとの区別は,はっきりしていると思っているようであるが,それが実は錯覚らしいのである.・・・(中略)・・・しかし,だまされたものは正しいとは,古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである.だまされたとさえいえば,いっさいの責任から解放され,無条件で正義派になれるように勘違いしている人は,もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ.」


いまだから見える日本の姿に気づかされます.




いまだから読みたい本――3.11後の日本
小学館


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